【小学校高学年の部】 2019年
この書籍/本は2019年の「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書です。
ぼくとニケ
読みやすさ:★★★☆☆
書きやすさ:★★★★☆
「ぼくとニケ」を読んでみた印象
ある程度の漢字にふりがながあり、話の内容は現代、小学生の物語なので読みやすいです。
登場人物もむやみに増えることはありませんので、重要人物だけを理解すればよいでしょう。
ページ数もそれほど多くはなく、「もうひとつの屋久島から」と比べるとラクと言えます。
感想も登場人物や出来事、場面やセリフに対しての共感や反対意見などをもりこみ、
「もし私なら・・・」と書くことができるので、感想文は書きやすいと思います。
ただし、物語はペットとしての猫=動物の生死を扱っています。
話の中盤から、後半のかなしい物語への伏線(今風でいえばフラグ)があります。
かなしい結末を予見しながら、読みすすめるのはつらく、気が重くなります。
※表紙のかわいいニケの姿でこの推薦図書を選んでしまった動物(猫)好きなお子さんが
読みすすめる、読み切る、感想文を書くのが、とても苦痛になる可能性があります。
もし事前に確認することができれば、(ネタバレではありますが)
保護者の方が事前に確認をする方がいいかもしれません。
「ぼくとニケ」(画像/JPG)テンプレート
「ぼくとニケ」印刷用(PDF)テンプレート
かべのむこうになにがある?
読みやすさ:★★★★★
書きやすさ:★★☆☆☆
「かべのむこうになにがある?」を読んでみた印象
小学校高学年の課題図書の中で一番読みやすい本です。
絵本のように絵が多く、文字は少ないです。
登場人物も動物だけで理解もしやすいです。
その反面、読書感想文をある程度の長さで書くのはむずかしいです。
共感できるほど掘り下げたエピソードのある登場人物(動物)はいない。
好き、嫌い、おどろいたなどの感想を書けるほどの出来事(事件)もない。
フィクション作品の初めて知った情報などもない。
感想を書くためには、文章にはない情報や想像、作者の思いなどから
ある程度の文字数をひねり出さなくてはいけないので、
「読むのは楽、書くのは苦痛」の典型のような本だと思います。
想像力豊かなお子さん、自分の体験や考えとリンクして書けるお子さん、
「・・・なのではないかと思いました」でざっくりとまとめられる
お子さんに向いています。
※ただし、高学年の課題図書の中で「読むのが楽」と言うことで、
感想文の期待値はかなり高くなり、高度な文章が求められると思います。
「かべのむこうになにがある?」(画像/JPG)テンプレート
「かべのむこうになにがある?」印刷用(PDF)テンプレート
マンザナの風にのせて
読みやすさ:★★☆☆☆
書きやすさ:★★★☆☆
「マンザナの風にのせて」を読んでみた印象
フリガナなどもあり、文字の量は「もうひとつの屋久島から」に比べれば少なくラクに読めると思います。
戦争時代の、外国(アメリカ在住の日本人/日系人)の物語なので時代背景等で理解は少しむずかしいかもしれません。
主人公の少女、マナミと家族の物語で、戦争の理不尽さやつらさを感想にすることもできます。
マナミと愛犬トモの物語として、離れ離れになってしまった後悔やさみしさなどを感想にすることもできます。
日本人があまり知らなかった「アメリカに暮らす日本人の戦争体験」について、
はじめて知ったこと、感じたこと、考えたことを感想にすることができます。
「この本を読んで、○○○○ということをはじめて知った。」
「この本を読むまでは、△△△△ということを考えたことがなかった、・・・」
「もし私がマナミの立場だったら、・・・」
※すべて読まなくても「はじめに」と「訳者あとがき(p183~)だけでも感想書けます。
登場人物への共感や場面の感想を書くのはむずかしいけれど、可能です。
「マンザナの風にのせて」(画像/JPG)テンプレート
「マンザナの風にのせて」印刷用(PDF)テンプレート
もうひとつの屋久島から:世界遺産の森が伝えたいこと
読みやすさ:★☆☆☆☆
書きやすさ:★★★☆☆
「もうひとつの屋久島から」を読んでみた印象
本は一部漢字にふりがながあり、読みすすめることはできます。
しかし、内容はむずかしく、情報量も多く、専門的なことも書かれています。
ドキュメンタリー/ノンフィクションの話なので好きなお子さんと
苦手なお子さんに分かれると思います。適正に合わせて選んで下さい。
読むのはむずかしいですが、感想文を書くのは比較的楽だと思います。
「屋久島の永田浜でボランティアの大学生や地元の小中学生がアカウミガメの保護や
調査の活動をしています。ゴールデンウィークはアカウミガメの産卵シーズン
です。アカウミガメと産み落とされた卵を守る活動をしています。」というだけで、
100文字を超えて、数行うまります。
「もうひとつの屋久島から」をすべて読み切れない場合…
興味のある部分を読んで感想を書けます。
1章:屋久島のくらし
「もし私たち家族が屋久島でくらすことになったら・・・」
「屋久島の・・・なところがおどろきました」
2章:屋久杉やウミガメなどの紹介
「屋久杉/ウミガメを見てみたい。なぜなら・・・」
3章:屋久島の森林の伐採等の歴史
「どうしてこんなにすごい森林を切ってしまうのか信じられない。私なら・・・」
「もしこの自然を大切にしていたら、もっと・・・」
4章:世界自然遺産に登録され、観光化とその後の課題
「観光客がきて島の人の生活が豊かになるけど・・・」
「○○○○の問題は、島の人だけでなく・・・」
「もうひとつの屋久島から」(画像/JPG)テンプレート
「もうひとつの屋久島から」印刷用(PDF)テンプレート
読み切れない方は…省略版「もうひとつの屋久島から」
【※どうしても読み切れない方に!】
巻頭のカラーページ(屋久島の写真と説明)と植物と生き物の地図、
p180~のエピローグだけを読んで感想が書けるテンプレートも用意しました。
読む量はぐっと減り、ラクですが書くのは少しだけ大変かもしれません。
省略版「もうひとつの屋久島から」(画像/JPG)テンプレート
省略版「もうひとつの屋久島から」印刷用(PDF)テンプレート
まとめ
ぼくとニケは表紙がかわいい雰囲気なので選びがちですが、物語は悲しく終わります。
ですが、かなしいだけではなく希望もありますのでそこを含めた感想が書けると思います。
マンザナの風にのせては、外国の、昔の、戦争関連のお話なので辛抱強く読まないと読みすすめるのが大変です。ただし、エピソードやはじめて知った情報等も多く含むので感想は書きやすいと思います。
もうひとつの屋久島からは、自然環境保護についてと地元の人たちの生活をどのようにバランスをとっていくかという小学生には高度なテーマと、かなりの情報量を含んでいます。
物語より理系、自然系が好きなお子さんには向いているかもしれません。
これらの課題図書の中で一番難しいのは、かべのむこうになにがあるだと思います。
高学年の課題図書にしては絵本のような内容ですが、情報量が少なすぎて感想文を書くのが難しく、著者がシンプルな物語の中で何を伝えたかったのかを読み解く必要があるので哲学的でもあります。
※感想文の本を決められない場合は、
今までの「青少年読書感想文全国コンクール」の小学校高学年の課題図書