【中学校の部】 2020年
この書籍/本は2020年の「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書です。
天使のにもつ
読みやすさ:★★★☆☆
書きやすさ:★★★☆☆
「天使のにもつ」を読んでみた印象
中学2年生の主人公・風汰が職場体験として保育園で働くことになります。
文字数もページ数もそれなりにありますが、全体的に会話文と主人公の心の声なので、
読みすすめるのは(他の本に比べて)カンタンかもしれません。
物語もスピード感があり、たくさんの登場人物、出来事、場面があり、
共感したり、疑問に思ったり、感動したり、反発したりという感想を書けば
ある程度の文字数の読書感想文になると思います。
具体的には職業体験を通しての主人公の成長(考えや気持ちの変化)や、
それぞれの出来事(問題)に対して、「私なら~」という内容が向いていると思います。
小さな子供たち(天使=保育園児)のそれぞれに事情があり、それぞれに背負うもの(にもつ)が
あるということなのでしょうが、それほどネガティブな部分にフォーカスしなくても
感想文を書くことができるので、深読みをする必要はなくサラッと書けます。
「天使のにもつ」(画像/JPG)テンプレート
「天使のにもつ」印刷用(PDF)テンプレート
11番目の取引
読みやすさ:★★☆☆☆
書きやすさ:★★★★☆
「11番目の取引」を読んでみた印象
かなりの量の文字量・ページ数です。読み切るのに時間がかかると思います。
時間だけでなく、外国の話なので、人の名前、習慣など、理解しづらい点も多いです。
彼らには、平和に暮らしている日本人には理解しがたいトラウマもあります。
物語のキーになる「ルバーブ」という楽器については事前にネットで検索すると
よいのではないでしょうか? 主人公のサミやじじ(祖父)のくらしの根幹である
イスラムの生活様式や慣習についても、わかりづらいことがあると思います。
それが新しい発見や、物語の深みになるとは思います。
たくさんの苦難と問題解決をくりかえして、最後にはたくさんの人に助けられますが、
長い文章(活字)を読むことに慣れていないお子さんには苦痛です。
まさにこの長い話を読みすすめ、読み切ること自体が『苦難』になります。
その分、感動した場面や、心に響いた言葉などをピックアップするだけで
感想文は書けると思います。
「11番目の取引」(画像/JPG)テンプレート
「11番目の取引」印刷用(PDF)テンプレート
平和のバトン:広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶
読みやすさ:★☆☆☆☆
書きやすさ:★★★☆☆
「平和のバトン」を読んでみた印象
広島の原爆についての記述が多く、精神的に負担のかかる本です。
「11番目の取引」に比べて、文章量、文字の大きさ、ふりがな等で多少は読みやすいです。
ノンフィクションなので、インタビュー形式の文章や過去の内容、現在の状況等、
視点がコロコロと入れかわり、苦手な人には読みにくいもしくは理解しにくい構成です。
全体に具体的な原爆等の描写があり、そういった内容が苦手なお子さんは避けた方が
よいと思いますし、完読するのも、感想文を書くのもかなりつらいと思います。
ただし、夏休みの読書感想文としては、テーマになりやすい内容でもあるので、
読みすすめることができれば、感想文を書くという点では難易度が比較的低いかもしれません。
大人が読んでも、つらい内容です。お子さんには向き、不向きがあると思います。
その点をよく考えて選んで下さい。
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「平和のバトン」印刷用(PDF)テンプレート
まとめ
どの推薦図書も文字数・ページ数はあります。
完全にフィクションなのは「天使のにもつ」です。お気楽な中学生の主人公と
保育園の職場体験で感じたことが、読みやすい文体で書かれています。
3冊の中で一番ライトで読み切るのがラクな本かもしれません。
ノンフィクションのアフガニスタンの難民やタリバンなどの問題を
マインにした「11番目の取引」は物語的にひき込まれるドラマチックな内容ですが、
外国の話なので、理解しにくい描写や習慣などもあります。
「平和のバトン」はインタビューと取材形式のノンフィクションです。
文字は大きく、読みやすいようにふりがなもありますが、内容が超重量級です。
読後感も重々しく、随所に残酷な描写も多く、免疫のないお子さんには
絶対にオススメできない本です。だからこそ(矛盾してますが)
読書感想文としては、「心揺さぶられた」内容を書きやすいのではないかとも思います。
※私個人としては、かなりしんどくて本を読む手が何度も止まりました。
今までの「青少年読書感想文全国コンクール」の中学校の課題図書